使い方ガイド & 科学的根拠

Equine Vet Synapse の8軸マルチモーダル評価の科学的基盤、使い方フロー、よくある質問をまとめています。

8軸マルチモーダル評価の科学的基盤

Equine Vet Synapse は、馬の潜在能力を多面的・客観的に評価するため、独立した8つの評価軸を統合したマルチモーダルAIシステムを採用しています。各軸は馬学・獣医学・運動科学の学術的知見に基づいて設計されています。

1. スピード
短距離走能力・加速力を評価。速筋繊維比率、肢長/体高比、肩角度から推定。基準: 最高タイムの相対SI (Speed Index) を活用。
🏃
2. スタミナ
持久力・心肺機能を評価。胸囲/体重比、管囲/体重比、BCS (Body Condition Score) から推定。基準: Henneke BCS 1-9 スケール。
💪
3. パワー
筋力・馬格の力強さを評価。体重、胸囲、管囲、臀部筋肉の発達度から推定。馬体計測値と解剖学的プロポーション分析を統合。
💥
4. 瞬発力
爆発的加速力を評価。顔面構造パターンのAI解析 (EFSA™ 発生学的アプローチ)、飛節角度、後肢の踏み込み深さから推定。独自開発技術。
🛡
5. 安全性
故障リスクを逆転評価。肢軸アライメント、蹄形状、管囲の太さ、過去の健康チェック所見から推定。リスクが低いほど高スコア。
🦶
6. 歩様
歩行品質を動画AIで評価。NST Engine (Natural Speed Theory) による常歩・速歩のリズム・対称性・踏み込みを定量化。
🧬
7. 耐久性
長期的な競走寿命を予測。成長記録の推移パターン、遺伝的耐久性スコア (血統DB参照)、BCS安定度から推定。
🏇
8. 血統
遺伝的能力ポテンシャルを評価。種牡馬DB(152頭)、ニックス適性、インブリード係数、母父系統の距離適性から推定。

AI制御技術

NST Engine (Natural Speed Theory)

動画から馬の歩様を解析するプロプライエタリ技術。コンピュータビジョン (OpenCV) とフレーム間差分分析により、常歩・速歩のリズム周期、左右対称性、四肢の踏み込み深さを自動定量化します。

Resonance Integrity Engine

AI出力の信頼性を自己評価する誠実化制御システム (特許出願中)。入力データの充足度と内部一貫性を検証し、confidence (確信度) 値を算出。confidence < 90% の場合は HOLD (断言せず保留) とし、過信を防止します。

偏差値・ランクシステム

500件の過去統計データベース (JRA公開統計・軽種馬協会セリカタログ) を母集団として偏差値を算出。S/A/B/C/D の5段階ランクに変換し、相対的な能力位置を可視化します。

学術的参考文献

  • BCSHenneke DR, Potter GD, Kreider JL, Yeates BF. (1983). "Relationship between condition score, physical measurements and body fat percentage in mares." Equine Veterinary Journal, 15(4):371-372.
  • 歩様Clayton HM. (2004). "The Dynamic Horse: A Biomechanical Guide to Equine Movement and Performance." Sport Horse Publications.
  • 馬体Holmström M, Magnusson LE, Philipsson J. (1990). "Variation in conformation of Swedish Warmblood horses and conformational characteristics of elite sport horses." Equine Veterinary Journal, 22(3):186-193.
  • 血統Cunningham EP. (1991). "The genetics of Thoroughbred horses." Scientific American, 264(5):92-98.
  • 栄養NRC. (2007). "Nutrient Requirements of Horses: Sixth Revised Edition." National Academies Press.
  • 顔面構造Murphy J, Arkins S. (2008). "Facial hair whorls (trichoglyphs) and the incidence of motor laterality in the horse." Behavioural Processes, 79(1):7-12.

基本ワークフロー

馬の登録からAI解析、獣医師共有まで、4つのステップで完結します。

1
馬を登録する
「登録馬一覧」ページで馬名を入力して登録。性別・生年・血統情報も追加できます。登録後、各馬に専用のカルテが作成されます。
2
データを入力する
馬体計測値 (体高・体重・胸囲・管囲)、歩様動画 (MOV/MP4対応)、側面写真、顔写真を入力。すべてが揃わなくても、あるデータだけで解析可能です。
3
AI解析を実行する
「AI総合解析を開始」をクリック。8軸レーダーチャート、偏差値、ランク、確信度が自動算出されます。動画はNST Engineで自動解析されます。
4
結果を活用・共有する
結果はPDFレポートとして出力可能。獣医師には共有リンク (ログイン不要) を発行できます。成長記録や健康チェックを継続的に蓄積することで、予測精度が向上します。

各機能の使い方

成長記録

馬詳細ページから「成長記録を追加」をクリック。計測日、体高 (cm)、体重 (kg)、胸囲 (cm)、管囲 (cm)、BCS (1-9) を記録します。2回以上記録すると体高・体重のトレンドグラフが自動生成されます。

健康チェック

症状チェックリスト (全身・四肢・消化器・呼吸器・皮膚・神経系) から該当する所見を選択すると、Syanapseアルゴリズムが疾患スクリーニング(鑑別)を実行。結果を獣医師に共有できます。

獣医師カルテ共有

馬詳細ページ →「獣医師報告カルテ」から共有リンクを発行。獣医師はログイン不要で、カルテ (基本情報・解析結果・健康履歴・成長記録) を閲覧できます。有効期限は7日/30日/90日/無期限から選択可能。

動画解析

MOV (iPhone)、MP4、AVI 形式に対応。アップロードされた動画は自動的にMP4/H.264に変換され、NST Engineで歩様を解析します。横から撮影した常歩・速歩の動画が最も精度が高くなります。

栄養・飼料計算

NRC 2007 準拠の栄養要求量計算。馬の体重・年齢・運動量・妊娠/泌乳状態を入力すると、必要なDE (消化エネルギー)、CP (粗タンパク質)、Ca、P を自動計算し、飼料配合を提案します。

予測精度分析

レース結果を登録すると、AI評価スコアと実際の着順・賞金の相関を分析。50件以上蓄積するとGradientBoosting MLモデルが自動学習し、予測精度が向上します。

よくある質問

現在 152頭の種牡馬データが登録されています。
はい、利用可能なデータのみで解析を実行します。ただし、入力データが多いほど確信度 (confidence) が高くなります。確信度90%未満の場合は「HOLD (保留)」表示となり、結果の過信を防ぎます。
いいえ。Equine Vet Synapse はあくまで補助的な評価ツールであり、獣医師法に基づく診療行為には該当しません。健康に関する最終判断は必ず獣医師にご相談ください。鑑別機能はスクリーニング目的であり、確定的な診断ではありません。
MOV (iPhone標準)、MP4、AVI、MKV に対応しています。アップロード後、自動的にMP4/H.264に変換されます。iPhoneで撮影したHEVC (H.265) の動画もそのまま使用できます。ファイルサイズの上限は200MBです。
獣医師側のアカウント登録は不要です。共有リンク (一意トークン) を発行するだけで、獣医師はリンクを開くだけでカルテを閲覧できます。リンクには有効期限を設定でき、アクセス回数も記録されます。
馬個体記録は7年間データベースに保持されます。保持期間を過ぎたデータは自動的に削除されます。PDFレポートとしてエクスポートしておくことをお勧めします。
無料プランでは獣医師相談・AIチャットを限定的にお試しいただけます。馬の登録は獣医師相談プラン(月¥1,100)以上、AI馬体解析はLightプラン(月¥1,100)以上で利用できます。
Speed Index はレースタイムの相対的な速さを数値化したものです。計算式: SI = 100 - 10 × (馬のタイム - 最速タイム)。例えば、最速馬より0.1秒遅い場合、SI = 99 となります。NAR (地方競馬) の出走表から自動推定されます。
以下を推奨します: (1) 馬体計測値を正確に入力する (2) 横からの歩様動画を常歩・速歩で撮影する (3) 成長記録を定期的に記録する (4) レース結果を登録してMLモデルを強化する (5) 外部データソース (JRA-VAN等) を接続する。

用語集

BCS (Body Condition Score)
Henneke法に基づく馬の栄養状態スコア。1 (痩せすぎ) 〜 9 (太りすぎ) の9段階。競走馬の理想値は4-6。
NST Engine
Natural Speed Theory Engine。動画から歩様のリズム・対称性を定量化するプロプライエタリ技術。
Resonance Integrity
AI出力の信頼性を自己評価する誠実化制御。入力充足度と内部一貫性を検証し confidence を算出。
Speed Index (SI)
レースタイムの相対速度指標。100を基準に、最速馬との差を10倍して減算。SI = 100 - 10 × (差秒)。
管囲
前脚の管骨 (第三中手骨) 周囲長。骨格の強さの指標。一般的にサラブレッドは19-22cm。
胸囲
き甲の後方、肋骨部の最大周囲長。心肺機能とスタミナの間接指標。
顔面構造パターン
馬の顔面に現れる微細な構造特徴。発生学的に神経管の発達と関連し、気性・運動性向との相関が研究されている。EFSA™技術で解析。
偏差値
500件の過去統計DBを母集団とした相対評価。50が平均、60以上が上位約16%。
確信度 (Confidence)
AI評価の信頼性指標。60%〜95%の範囲で、入力データ項目数に応じて上昇。90%未満は HOLD (保留)。
ニックス
特定の種牡馬と母父の組み合わせが統計的に好成績を示すパターン。血統分析で自動チェック。
DE (消化エネルギー)
馬が消化吸収できるエネルギー量 (Mcal/日)。NRC 2007基準で体重・年齢・運動量から算出。
鑑別(スクリーニング)
症状チェック結果から考えうる疾患を確率順にリストアップする健康スクリーニング。獣医師法に基づく診断行為ではなく、獣医師への情報提供を目的とする。
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